老朽化した内山牧場キャンプ場のシャワー施設、炊事場施設を改築する計画。
近年のキャンプブームの影響で、来場者が大幅に増え続け、さらなる利便性と集客のために佐久市にて施設と周辺の整備計画を策定。 その計画をベースに、管理者の要望などを取り入れながら計画した。
なお国定公園内での計画となるため、長野県(環境省)との協議を経ている。
当初は3棟ともに周囲の山並みに沿う形として切妻屋根で計画していたが、厳しいコストと建設工期であることから、 面積の大きな建物のみ切妻屋根とし、その他2棟は片流れ屋根(折版屋根)の建物となった。
外部色彩計画としては、キャンプ場全体を覆う野芝、ツツジ等の既存植生にも馴染みやすく、夜間の星空観察時にも視界の邪魔とならないブラックを採用。 各建物は施設としての統一感を出すために外装材や屋根材を統一している。
インテリアは構造材表し、シナベニヤ、構造用合板、コンクリート、モルタルといったコストやメンテナンス性、強度のある材料を採用し、コストダウンを図りながらも、 キャンプ場らしい山小屋の雰囲気を目指した。
なお製材は信州木材認証製品を採用。 冬季は閉鎖されるため、中間期と夏季を想定した建物仕様、設備仕様とすることでコストダウンを図っている。
冬季間(11月~3月)の施工であることと、標高の高い場所での施工、腐植土を含む不良な土壌に苦戦しながらの施工は困難を極めた。 地盤改良工事も発生し、工期とコストの調整にも苦慮したが、発注者の理解と施工者の努力により、竣工まで辿り着けたと言える。